2021.03.12   2021.04.18

【Centos7】chronyc sources コマンドの出力結果の見方

Linux    

Chrony の読み方

Chrony (クローニー) です。

Chronyとは

NTPクライアントとNTPサーバーの実装のひとつ。
ntpdより効率良く正確な時刻同期を提供します。

Chrony を使用すると、以下のことが実現できます。

  • システムクロックを、NTP サーバーと同期する
  • システムクロックを、GPS レシーバーなどの基準クロックと同期する
  • システムクロックを、手動で入力した時間と同期する
  • ネットワーク内の他のコンピューターにタイムサービスを提供する

Chrony公式

https://chrony.tuxfamily.org/

chronyc sources コマンドとは

chrony が自身の時刻同期先(NTPサーバなど)と同期が取れているかを確認できるコマンドのひとつ。

chronyc sourcesコマンドは、chronyd が時刻同期している(または時刻同期可能な)サーバー等の情報を表示します。

chronyc trackingコマンドが自分自身の状態を表示しするのに対し、chronyc sourcesコマンドは接続先の情報を表示します。

chronyc sources の見方

オプションなしでコマンドを実行すると、以下のような出力結果が得られますが、

$ chronyc sources
210 Number of sources = 4
MS Name/IP address         Stratum Poll Reach LastRx Last sample               
========================================================
^? ntp-b2.nict.go.jp             1   6   375    24  -4891us[ -100ms] +/-   13ms
^* sh03.paina.net                3   6   357    20   -993us[  -96ms] +/-   51ms
^? time.ooonet.ru                2   6   143    23   -437us[  -96ms] +/-  235ms
^+ 185.137.97.5                  2   6   377    20    -17ms[  -17ms] +/-  183ms

-v オプションを使用すると詳細説明も表示できます。

$ chronyc sources -v
210 Number of sources = 4

  .-- Source mode  '^' = server, '=' = peer, '#' = local clock.
 / .- Source state '*' = current synced, '+' = combined , '-' = not combined,
| /   '?' = unreachable, 'x' = time may be in error, '~' = time too variable.
||                                                 .- xxxx [ yyyy ] +/- zzzz
||      Reachability register (octal) -.           |  xxxx = adjusted offset,
||      Log2(Polling interval) --.      |          |  yyyy = measured offset,
||                                \     |          |  zzzz = estimated error.
||                                 |    |           \
MS Name/IP address         Stratum Poll Reach LastRx Last sample               
==========================================================
^* ntp-b2.nict.go.jp             1   6   353   125   +440us[+3285us] +/- 7560us
^- time-b.as43289.net            3   6   377    61    -35ms[  -35ms] +/-  306ms
^- time.ooonet.ru                2   6   377   124    +38ms[  +38ms] +/-  241ms
^- 185.137.97.5                  2   6   377   126    +12ms[  +12ms] +/-  194ms

M (Mode)

ソースのモードを示す。記号ごとにそれぞれ以下の意味がある。
^ はサーバー
= はピア
# はローカル


S (State)

この列は、ソースの状態を示します。
「*」は、chronyd が現在同期しているソースを表す。
「+」は、選択したソースと結合する、受け入れ可能なソースを表す。
「-」は、受け入れ可能なソースで、結合アルゴリズムにより除外されたものを表す。
「?」は、接続が切断されたソース、またはパケットがすべてのテストをパスしないソースを表す。
「x」は、chronyd が falseticker と考える (つまり、その時間が他の大半のソースと一致しない) クロックを表す。
「~」は、時間の変動性が大きすぎるように見えるソースを表します。
「?」条件は、少なくとも 3 つのサンプルが収集されるまで開始時にも表示されます。


Name/IP address

ソースの名前または IP アドレス、もしくは基準クロックの参照 ID を表示する。


Stratum (ストラタム)

直近で受け取ったサンプルでレポートされているソースの stratum(NTPサーバーの階層) を表示します。

Stratum 1 は、ローカルで基準クロック(最上位のstratum 0)に接続しているコンピューターを示します。

Stratum 1 のコンピューターに同期しているコンピューターは、stratum 2 となります。

同じく、Stratum 2 のコンピューターに同期しているコンピューターは stratum 3 となり、それ以後も同様に続きます。


Poll

ソースがポーリングされるレートで、2 の乗数秒 で示される。
例えば、値が 6 の場合は、64 秒ごとに測定が行われる。

chronyd は、一般的な条件に応じて、ポーリングレートを自動的に変更します。


Reach

ソースの到達可能性のレジスターで、8 進法で表示されます。レジスターは 8 ビットで、ソースからパケットを受信するたびに、またはミスするたびに更新されます。値が 377 の場合は、最近の 8 回の通信全体で、有効な返信を受け取ったことを表します。


LastRx

何秒前に最後のパケットを受信したかを示す。


Last sample

この列は、ローカルクロックと、最後に測定されたソースの間のオフセットを表示します。
角括弧内の数字は、実際に測定されたオフセットを表示します。
つまり、NTPサーバーとローカル環境の時間の乖離値を確認するにはこの箇所を見れば良い。
これには ns (ナノ秒)、us (マイクロ秒)、ms (ミリ秒)、または s (秒) の各接尾辞が付く場合がある。
角括弧の左側は元の測定を示し、slew がそれ以降にローカルクロックに適用可能になるように調整されています。
+/- に続く数字は、測定におけるエラーのマージンを示します。オフセットの値がプラスの場合は、ローカルクロックがソースよりも進んでいることを意味します。

また、-vオプションの説明を見ると、Last sampleの各数値の最大桁数は4桁となるようだ。

各単位の1秒の桁数
1s(秒) = 1,000 ms
1s(秒) = 1,00,000 us
1s(秒) = 1,000,000,000 ns

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この記事のソース

この記事は以下のRed Hat7のマニュアルを参考に作成しています。


https://access.redhat.com/documentation/ja-jp/red_hat_enterprise_linux/7/html/system_administrators_guide/ch-configuring_ntp_using_the_chrony_suite

man コマンド

man でも詳細説明を確認できます。

man chronyc


オフセットとは

基準となる位置からの差を表す値のこと。
今回はNTPサーバーを基準としたローカルクロックとの差のことを言う。

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slew(スルー)とは

ひとことでいうと、 ずれた時間を徐々にNTPサーバーに合わせる機能のこと。

サーバの時刻がずれていた場合、いきなり正確な時刻に合わせると、問題が生じることがありるため、Linuxではこのような機能が用意されている。

slewモードとは対象的に、すぐに時間を合わせたい場合はstepモードを使用します。

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Stratum (ストラタム)とは

NTPでは、階層構造を用いて時刻源の構成を表現しています。

階層構造の各層をstratumと呼び、stratumは0を最上位として15まで階層があります。

原子時計、GPS等の非常に正確な時刻源を「reference clock」と呼び、 階層構造の最上位であるstratum 0としています。

このstratum 0に接続されたNTPサーバをstratum 1、 さらにstratum 1を参照するNTPサーバをstratum 2と、 reference clockから経由するNTPサーバの数が増加するにつれて、 stratumの数字が増えていきます。

つまり、NTPサーバは他のNTPサーバを時刻源として参照し、 相手の持つstratumの数字を一つ増やし、 自身がさらに他のクライアントに対して時刻情報を提供することになります。

こうした階層構造を利用することで、負荷分散を図るとともに、 stratumの数値によってどのくらい信頼できる時刻源であるかが判断できるようになっています。

また、1台のサーバだけではそのサーバが正確な時刻を保持しているかどうか不明なため、 通常NTPサーバは上位stratumのNTPサーバを複数台参照することで、 時刻の正確さを高めることが行われています。

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Stratum 解説の出典 :
https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/ntp.html#:~:text=NTP%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%80%81%E9%9A%8E%E5%B1%A4%E6%A7%8B%E9%80%A0%E3%82%92,stratum%200%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

参考

https://access.redhat.com/documentation/ja-jp/red_hat_enterprise_linux/8/html/configuring_basic_system_settings/using-chrony-to-configure-ntp

https://milestone-of-se.nesuke.com/l7protocol/ntp/linux-spec/
https://tech-lab.sios.jp/archives/11247
https://oplern.hatenablog.com/entry/2016/12/04/181249

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